フランツ・シューベルト（1797-1828）：
ＣＤ１：
１～４．ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D.894
５．アレグレット ハ短調 D.915
ＣＤ２：
１～４．４つの即興曲 作品90 D.899
５～８．ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D.958
イリーナ・メジューエワ（ピアノ）
録音： 2009年5月、11月、2010年11月、新川文化ホール（富山県魚津市）
若林工房【国内盤】
ロシア出身の実力派イリーナ・メジューエワによる待望のシューベルト・シリーズがスタート。メジューエワは、2007年から09年にかけてベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を敢行し、大好評を博しました。またそれに続いてショパンの主要作品を立て続けにリリースし、その中の「ノクターン集」は2010年度レコードアカデミー賞（器楽曲部門）を受賞するなど素晴らしい活躍を続けています。
まさに乗りに乗ったメジューエワが、いよいよシューベルト作品の録音に着手しました。「満を持して」と呼ぶに相応しい第１弾は、シューマンが「形式も精神も完璧を極めている」と絶賛したト長調（D894）と晩年の傑作ハ短調（D958）のソナタ２曲と、「４つの即興曲」（D899）、「アレグレット」（D915）の組み合わせです。演奏は期待通り、いや期待以上の面白さ。繊細優美で愉悦感に溢れる音楽づくりは言うまでもなく、シューベルトの音楽のもうひとつの要素である寂寥感や死の影をそこはかとなく表出してゆきます。確固たる造型に支えられた線の太さと、千万変化するタッチを駆使した玄妙な表現が一体化した恐るべきシューベルトです。
