1. ジャンピエーリ(1893-1963)／ヴェニスの謝肉祭の主題によるカプリッチョ・ヴァリアート 変ロ長調
2-5. ベンジャミン(1893-1960)／クラリネット協奏曲 ハ短調（チマローザによる）
6-7. ドニゼッティ(1797-1848)／クラリネット・コンチェルティーノ 変ロ長調
8. ロッシーニ(1792-1868)／クラリネットと管弦楽のための変奏曲
9-10. メルカダンテ(1795-1870)／クラリネット協奏曲 変ロ長調
エドゥアルド・ブルンナー（クラリネット）
ハンス・シュタットルマイアー（指揮）／ミュンヘン室内管弦楽団 録音：1989年
TUDOR【スイス輸入盤】
陽気で伸び伸びしたイタリアの雰囲気満点の楽しいクラリネット協奏曲集で、めったに聴くことのできない珍しい作品ばかりです。アラミロ・ジャンピエーリ(1893-1963)の「カプリッチョ・ヴァリアート」は、有名な「ヴェニスの謝肉祭」の主題を用いた華麗な音楽で、クラリネット・ソロの超絶技巧をたっぷり盛り込んだヴィルトォーゾぶりは壮絶です。アーサー・ベンジャミン(1893-1960)は、「ジャマイカ・ルンバ」で知られるイギリス近代の作曲家ですが、彼の音楽はいつもちょっと風変わりで、換骨奪胎を得意とした奇才です。特にイタリアのオペラ作曲家ドメニコ・チマローザ（1749-1801）に入れ込んでいたようで、チマローザのチェンバロ・ソナタからベンジャミンが編曲した「オーボエ協奏曲」は大人気を博し、あたかもオリジナルの作品にように思われています。このアルバムの「クラリネット協奏曲」もチマローザ作品からの編曲もので、まるでイタリアの古典派のような端正で美しいコンチェルトになっています。
続くドニゼッティ(1797-1848)、ロッシーニ(1792-1868)、メルカダンテ(1795-1870)もイタリア・オペラ黄金期を代表する作曲家たちで、いずれも明快でヴィルトォーゾ的な華麗さを伴った素敵な作品です。クラリネット協奏曲というとモーツァルトやウェーバー、クロンマーといったドイツ古典派のイメージ強いですが、イタリアの作曲家たちの作品はオペラのアリアのように甘いメロディをたっぷりと歌い、燦々と降り注ぐ太陽のように快活で親しみやすいところが魅力です。演奏しているブルンナーは、ドイツの名門バイエルン放送交響楽団で30年間にわたり首席クラリネット奏者として活躍した名手です。オススメ。
