◎ハイドン(1732-1809)／クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための３つの三重奏曲
1-3. 三重奏第１番 Hob.?:Es1
4-6. 三重奏第２番 Hob.?:Es2
7-10. 三重奏第３番 Hob.?:B1
11. ケルターボーン(1931-)／クラリネットと弦楽四重奏のための幻想曲
12. モーツァルト(1756-1791)／クラリネット五重奏曲 ヘ長調 K.anh.90
13-17. ヒンデミット(1895-1963)／クラリネット五重奏曲
エドゥアルド・ブルンナー（クラリネット）、アマティ四重奏団 録音：2000年
TUDOR【スイス輸入盤】
ハイドンの「クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための３つの三重奏曲」は、楽譜の発掘に異様な執念を燃やしているブルンナーならではの選曲で、おそらく唯一の録音でしょう。解説では楽譜の出所の説明がいろいろ書かれており、真偽の方はともかくとしてハイドンっぽいロココ的で軽快な曲です。モーツァルトの「クラリネット、バセットホルンと弦楽のための五重奏曲ヘ長調K.Anh.90(580b)」は、モーツァルトの楽譜の断片をバイヤーが補筆した復元版で、アレグロ楽章だけの作品。こちらはすでによく知られており、すでにたくさんのクラリネット奏者が演奏しています。
このアルバムは、上記のような珍しい古典派の作品とともに、近現代作品のケルターボーンとヒンデミットのクラリネット五重奏曲が組み合わされているのがかなりユニークです。特にドイツで活躍中のケルターボーンの作品は、バリバリ現代的。クラリネットの「ギャー」という叫ぶような音が随所に用いられていて刺激的です。ヒンデミットも上品にまとめ上げるのではなく、先鋭的な響きや強烈なアタックをさらに強調した毒のある演奏。こういうパンチのある作品を演奏させるとブルンナーの凄さがいっそうストレートに伝わってきます。演奏しているブルンナーは、ドイツの名門バイエルン放送交響楽団で30年間にわたり首席クラリネット奏者として活躍した名手です。
