1. ヴィンセント・パーシケッティ(1915-1987)/パラブル第9番 Op.121
2. ジェイムズ・サイラー(1961-)/ミントンズ・プレイハウス
3. ルイジ・ザニネーリ(1932-)/ラゴン・ラブ - シンフォニック・バンドのための古代アルスターのエア
4-7. デイヴィッド・マスランカ(1943-)/交響曲第5番
スティーヴン・K・スティール(指揮)/イリノイ州立大学ウィンド・シンフォニー
録音:2002年
ALBANY【アメリカ輸入盤】
吹奏楽の世界では絶大な人気があるデイヴィッド・マスランカは、吹奏楽のための交響曲を多数作っていますが、「交響曲第5番」は、期待通りのマスランカ節が炸裂したダイナミックでゴージャズな作品。ド派手なブラスや打楽器のパワーは凄まじく、有無を云わせぬ迫力に圧倒されます。どの楽器にもアクロバチックなアルペジオがあり、打楽器は終始大活躍し、現代の吹奏楽が到達した最高度の技術を発揮した音楽といえるでしょう。また、単なるお祭り騒ぎで終わることなく、美しいメロディや華麗な和音が散りばめられており、最後は静かに消え入るように締めくくる演出も心憎いところです。とにかく始めから終わりまで高いテンションを保ったまま聞き入ってしまいます。
古典的名作として知られるパーシケッティの「パラブル(寓話)第9番」は、現代的な色彩が強いため、シリアスな渋い曲調ですが、高い知性が生み出す音の結晶体ともいえる純度の高い音楽です。サイラーの「ミントンズ・プレイハウス」は、いかにもアメリカらしいジャズを基調とした快活な作品で、サクソフォーン四重奏が大活躍する協奏曲的な音楽。ザニネーリの「ラゴン・ラブ」は、「古代アルスターのエア」というアイルランドの古い民謡を主題にした穏やかで美しい作品です。
マスランカ作品を積極的に取り上げ、深い信頼関係を築いているイリノイ州立大のダイナミックな演奏も素晴らしい。オススメです。