デヴィッド・マスランカ(1943-):
1-5. アルト・サクソフォンとウィンド・アンサンブルのための協奏曲(1999)
6. リベレーション(解放)(2010)
スティーヴン・K・スティール(指揮)/イリノイ州立大学ウィンド・シンフォニー
イリノイ州立大学シンフォニック・ウィンズ、ポール・ノーレン(アルト・サクソフォン)
発売:2012年
ALBANY【アメリカ輸入盤】
吹奏楽の世界では絶大な人気があるデヴィッド・マスランカ。「アルト・サクソフォン協奏曲」は、5楽章からなる40分もの大作で、各楽章には1:歌「地上の炎」/2:間奏曲「明るい窓、あなたの夜は星に満たされ」/3:歌「親愛なるイエス、あなたは私に何をしたのですか?」/4:間奏曲「星月夜」/5:歌「人間よ、これを見たことがあるか?」と標題が付けられています。マスランカらしいシリアスながら圧倒的なパワーと集中力に満ちた音楽で、サクソフォーンがあたかも一人の人間の心の叫びを代弁するように、もの悲しいメロディーを次々に歌い継いでいくようです。不安や祈りを象徴するようなJ・S・バッハの音楽を引用していることもポイントです。また、「リベレーション」は2010年JWECC(日本管楽合奏指揮者会議)の委嘱作。グレゴリオ聖歌「我を解き放ち給え」を主題に展開される壮大な音楽は感動的で、吹奏楽の機能とダイナミズムを存分に使い切った快作といえるでしょう。なお、イリノイ州立大学のウィンド・シンフォニーとシンフォニック・ウィンズは名前が違うとおり、編成はほぼ同じながらメンバーはほとんど異なります。