1~6.デイヴィッド・マスランカ(1943-)/マウンテン・ロード(山道)
7~10.デイヴィッド・ストック(1939-)/サックス・アピール
11.12.ラッセル・ペック(1945-)/ドラスティック・メジャース
トランスコンティネンタル・サクソフォン四重奏団 録音:1999年
ALBANY【アメリカ輸入盤】
アメリカの作曲家たちの比較的新しいサクソフォン四重奏曲を集めたアルバムで、マスランカとストックの作品はこれが世界初録音となります。マスランカは1943年マサチューセッツ生まれの作曲家で、代表作「子供の庭の夢」などにより吹奏楽の世界ではすでによく知られている存在。彼の作風は大胆なほどモダンな手法を用いながらもロマンチックで美しく、時には嵐のような劇的な表現も出てきて、振幅の幅広さと音楽性の豊かさではちょっと群を抜いています。「マウンテン・ロード(山道)」も、これまでのサクソフォン四重奏とは形式も作風もかなり趣が異なっており、6つの楽章からなる30分近い大作です。マスランカらしい超絶技巧を用いた劇的な表現、そして宗教音楽をリファンインしたような美しいコラールのコントラストが鮮やかです。
デイヴィッド・ストック(1939-)は、アメリカのピッツバーグにあるデュケーン大学の音楽教授で、名門ピッツバーグ交響楽団やシアトル交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンスも務めています。ストックの「サックス・アピール」は、ジャズの色彩の濃い4つ楽章からなる作品で、鋭いアクセントやユニゾンによるリズムの強調などパンチのある音楽です。第3楽章「サラバンド」のみは、リコーダー四重奏曲からの転用ということで、コラール風な旋律や美しいリズムの重なりが特徴になっています。
ラッセル・ペック(1945-)は、主にオーケストラ作品で知られるアメリカの現代作曲家ですが、彼が1976年に作曲した「ドラスティック・メジャーズ」は、すでに欧米のサクソフォン四重奏団にとって定番に近いメジャーなレパートリーになっています。そのジャジーな甘いムードと軽快なリズムは、小粋で新鮮。第2楽章では斬新な書法が大きな効果を上げており、トランスコンティネンタル・サクソフォン四重奏団もノリノリで、かなり格好いい演奏に仕上がっています。