ヨハネス・ブラームス（1833-1897）：
ＣＤ１：交響曲第１番 ハ短調 Op.68、交響曲第２番 ニ長調 Op.73
ＣＤ２：交響曲第３番 ヘ長調 Op.90、交響曲第４番 ホ短調 Op.98
ジャナンドレア・ノセダ（指揮）／カダケス管弦楽団
録音：2008年1月、サラゴサ（スペイン）、アウディトリオ、ライヴ
TRITO【スペイン輸入盤】
1988年、バルセロナ近郊の町カダケスで開かれる音楽祭のために創設されたカダケス管弦楽団は、スペインの主要オーケストラのコンサートマスターや首席奏者のほか、ウィーン、ロンドン、アムステルダム、ロッテルダムなどのオーケストラの奏者によって構成されており、スペイン最高の実力を誇る特別なオーケストラとして、すでに世界各国で高く評価されている室内オーケストラ。ジャナンドレア・ノセダ（1964年ミラノ生まれ）は同楽団が開催するカダケス国際指揮者コンクールの第１回（1994年）優勝者で、直後に首席指揮者に就任し現在に至っています。その後のノセダの快進撃は周知のとおり。ノセダが手兵の小編成オーケストラを率いライヴ録音で臨んだブラームスの交響曲全集、これは大きな話題を呼ぶことでしょう。
いわゆるドイツ的な重厚さ・堅牢さ・渋さとは正反対の演奏で、小編成の長所が随所に活かされたフットワークの軽さとノセダの現代風のスタイリッシュな解釈が特徴です。スペインらしい明るい音色と洗練された見通しのよい響きは素晴らしく、重苦しい第１番でさえ、若々しく爽やか。込み入ったスコアが透き通ってみえるほど指揮者のコントロールが行き届いており、早めのイン・テンポを守りつつも、イキイキとしたリズムと颯爽とした歌いっぷりで、音楽はとても充実しています。数あるブラームスの交響曲全集の中でも、これほどフレッシュで軽快な演奏は珍しいです。それも若き才能ある指揮者とスペインの新設オーケストラならではの快挙といえるでしょう。
