朝比奈隆（指揮）／ベルリン・ドイツ交響楽団（旧西ベルリン放送響）
録音：1989年9月24日、ベルリン・フィルハーモニー・第39回ベルリン芸術週間に於けるライヴ録音
WEITBLICK【ドイツ輸入盤】
朝比奈とベルリン・ドイツ響（当時は西ベルリン放送響）の共演は、放送収録を含めて複数回に及びますが、この演奏会が最後の共演となりました。この年39回目を迎えたベルリン芸術週間は、７月に亡くなったカラヤンを偲ぶ追悼演奏会も含まれた豪華版でした。まだまだ元気一杯の巨匠朝比奈が渾身の力を込めて振った「エロイカ」は日本でもＦＭで放送され、大いに話題になったものです。そのアプローチは同年の新日本フィルとの名演奏とほとんど変わるところはありませんが、ベルリン・ドイツ響（当時は西ベルリン放送響）のソリスティックな部分の妙技や音色の味わいの濃さはたいへん魅力的。ゆったりしたイン・テンポで悠然と流れる朝比奈流が徹底した演奏のため、ドイツの新聞批評は真っ二つに割れたそうですが、鳴りっぷり豊かで構えの大きい名演であることは間違いありません。明晰で見通しの良い構成感、情感豊かな表現で「エロイカ」を聴いていると、小手先の表現にこだわりすぎている近年の若手指揮者やピリオド楽器の演奏からは決して感じられない巨匠ならではの風格と個性に自然と頭が下がります。朝比奈ファンでなくともぜひお試しいただきたいアルバムです。オススメです。
英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付。未開封新品です。
「1994年、私が朝比奈隆をシカゴ交響楽団に招くことを決意したとき、当時私はオーケストラの総裁であったが、音楽監督バレンボイムを説得する要があった。彼は朝比奈がどんな指揮をするか全く知らなかったので。私が朝比奈のブルックナー交響曲第８番のレコードをかけると、バレンボイムは即座に承諾した。そして優れて観察力の鋭いコメントをした。朝比奈はフルトヴェングラーのリハーサルに立会い彼と話をしたことがあると私が言うと、バレンボイムは“実のところ、彼の指揮は私に同時期だけれど別のドイツの巨匠－クナッパーツブッシュをより強く思い起こさせる”と答えた。この言葉を私は常に覚えている。このディスクの「英雄」交響曲を聴くとき、この言葉こそまさに的を射たコメントである。」～ヘンリー・フォーゲル（元シカゴ響総裁）のライナーノートより
