ヘルベルト・ケーゲル（指揮）／ライプツィヒ放送交響楽団 録音：1972年、ステレオ・ライヴ
WEITBLICK【ドイツ輸入盤】
発売以来、ケーゲルの看板の１つともなっている感のある演奏で、評論家たちの間でもやたら高い評価を受けている名盤。ただし、一聴しただけではその凄さが分かりにくい演奏でもあります。１楽章は速めのテンポで比較的あっさりしており、トスカニーニやバーンスタインみたいな怒り狂ったような激しさではなく、むしろ対照的なほどケーゲルらしい冷徹さを感じさせる演奏。長い長いクレッシェンドを一段ずつじっくり登り詰めていくような緊張感があり、計算された山場を築いていきます。そして圧巻はやはり４楽章で、最後にいたってようやく高らかに歌い上げて、きらびやかに締めくくるところは、やはり周到な計算が合ってのことでしょう。１楽章だけ立派であとは全ておざなりにしてまっている演奏が多い中、「起承転結」をハッキリさせて、全体の大きな流れを意識させてくれるところが素晴らしいところ。
直情型のバーンスタインの演奏と較べると、やはりマニアックな演奏であり、万人向けという感じではないかもしれませんが、好きな人にはたまらない実にケーゲルらしい演奏といえるでしょう。録音にはやや不満があるところですが、これだけ極めきった演奏は唯一無二。ショスタコーヴィチ好きには必携のアルバムです。
