ＣＤ１：ウィリアム・バード(1540-1623)
1. 「おお死よ、われを眠りに」
2. Come Tread the Paths
3. 「われを直ちに死なせるものは誰か」
4. マイ・リトル・スイート・ダーリン
5. ６声のファンタジア第２番 ト短調
6. 「哀れなアルビヌス」
7. 「主に向かいて高らかに喜べ」
8. 「清らかな英国半島」
9. ４声のイン・ノミネ第１番
10. ボーン・イズ・ザ・ベイブ
11. 「喜ばしき歌もて勝利を祝え」
12. 「眠れ、いとしい子」
13. ５声のファンタジア
14. 「聖なるミューズたちよ」
15. 不満と涙
16. フィ、フィ、マイ・フェイト
17. 楽園にて
ＣＤ２：アルフォンソ・フェラボスコ２世(1575-1628)
18. ４つの音によるパヴァーヌ
19. ５声のイン・ノミネ
20. ６声のファンタジア・イン・ノミネ
21. 「乙女の歌うやさしい歌」
22. アルマンドガイヤルドとクーラント
23. 「気持ちいい春の日」
24. 鳩小屋パヴァーヌ（５声）
25. かっこう
26. 「フィーバスがダフネに恋したとき」
27. ４声のファンタジア
28. Alas, Alack, My Heart Is Woe
29. ６声のファンタジア第１番 ト短調
30. Why Stays the Bridegroom
31. パヴァーヌ
32. Why Stays the Bridegroom（装飾版）
33. 六音音階によるファンタジア
34. フェアウェル・ザ・ブリス
フィリップ・ピエルロ（指揮）／リチェルカール・コンソート
ジェイムズ・ボウマン（カウンターテナー）、スーザン・ハミルトン（ソプラノ）
録音：1998年,1999年 発売：2007年
RICERCAR【ベルギー輸入盤】
古楽大国ベルギーの老舗ピリオド・アンサンブル「リチェルカール・コンソート」の名盤２つをカップリングして再リリースしたアルバム。リチェルカール・コンソートは1980年に創設され、優れたヴィオラ・ダ・ガンバ奏者であるピエール・ピエルロのもと、ルネサンスやバロック音楽を中心に素晴らしいコンサートやレコーディングを行い、世界中で高く評価されています。このフェラボスコ２世とバードの「声楽と室内楽作品集」というアルバムでは、リチェルカール・コンソートらしい明るく透明感のあるサウンドと中庸な表現が、上品な英国のコンソート・ミュージックと相性がピッタリで、ちょっと滅多に出会えないほど素敵な演奏に仕上がっています。
ウィリアム・バード(1540-1623)といえば、ルネサンス期のイングランドで活躍した大作曲家で、「ブリタニア音楽の父」 として現代イギリスにおいて敬愛されています。一方のアルフォンソ・フェラボスコ２世(1543-1588) はイタリア人ですが、イギリスに渡りエリザベス女王に仕え、イタリアのマドリガルを伝えた一人となりました。イギリスではフェラボスコの作品は昔からよく親しまれているようですが、彼の作品をまとまって聴く機会はあまり多くありません。そのため、このアルバムはフェラボスコ２世の音楽の真価を知るには格好の充実した内容となっています。
面白いことに、バードもフェラボスコ２世も器楽曲と声楽曲が半分ずつ収録されており、「ファンタジア」や「イン・ノミネ」といった器楽アンサンブルでの精緻を極めた繊細にして透明感あふれるハーモニーはため息が出るほど美しいものです。生真面目な印象があるリチェルカール・コンソートも、ここでは妙に色っぽい艶があって、滑らかなシルクのような光沢をもった芳醇な演奏を繰り広げています。
また、カウンターテナーの第一人者ジェイムズ・ボウマンと、現在大人気のソプラノ、スーザン・ハミルトンの素晴らしい歌唱も大いに賞賛すべきもの。イギリスの典型的なカウンターテナーと言えるボウマンのノーブルな美声もさることながら、スーザン・ハミルトンのピュアでチャーミングな歌は、あまりに可愛らしくて思わずうっとり聞き入ってしまいます。リアルで鮮明な録音も抜群で、作品・演奏・録音の三拍子揃った優れたアルバムです。デジパック・ケース。
