1-12. ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710-1736)/スターバト・マーテル
13-30. アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)/スターバト・マーテル
スサンネ・リデーン(ソプラノ)、ミカエル・ベッリーニ(カウンターテナー)
ストックホルム・バロック管弦楽団のメンバー
マリア・リンダル、エヴァ・リンダル(ヴァイオリン)
モニカ・カルレーン(ヴィオラ) マグダレーナ・モルーディング(チェロ)
アンナ・ホルム(コントラバス) カール・ニーリン(アーチリュート)
ペーテル・ロンネベリ(オルガン、チェンバロ)
録音:2007年1月28-19日、4月17日、スウェーデン、ヘーレ教会
PROPRIUS【スウェーデン輸入盤】
「スターバト・マーテル」とはキリストを失った聖母の悲しみを歌ったラテン語の歌詞で、ペルゴレージ(1710-1736)をはじめ、ヴィヴァルディやハイドン、ドヴォルザーク、プーランクなど様々な時代の多くの作曲家がこの歌詞を用いて曲を書いています。中でもわずか26歳で亡くなってしまったペルゴレージの「スターバト・マーテル」は、心にしみいるような曲調でありながら、美しく華麗な部分もあって、音楽的にもたいそう魅力的。2人のソリストによる各独唱と両者による素晴らしい二重唱からなる12の曲で構成されていますが、このアルバムではソリストがソプラノとカウンターテナーになっていることが特徴でしょう。
一方のアレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725)は、一般的には「すみれ」や「ガンジス川に日はのぼり」などの歌曲で有名なイタリアの作曲家。息子は膨大な数のチェンバロ作品で有名なドメニコ・スカルラッティです。彼は、チェンバロ曲や合奏協奏曲なども作曲しましたが、その創作の中心を占めたのは声楽曲でした。イタリア・オペラの基礎を築いた「ナポリ楽派」の中心的な人物として60曲以上のオペラや多数のカンタータなどを残しています。A・スカルラッティの「スターバト・マーテル」は、ペルゴレージの同曲に代わるまで「悲しみの聖母騎士団」で演奏されていた曲で、やはり彼の代表作の1つといわれています。確かにペルゴレージに比べるといかにも宗教的な敬虔さが強く感じられ、ペルゴレージほど華麗な曲ではありません。しかし、その分しっとりと落ち着いた雰囲気で、ソプラノとアルト(この演奏ではやはりカウンターテナー)の2人のソリストによる静かな美しい歌声にゆったりと浸ることができます。
ストックホルム・バロック管弦楽団の演奏はキビキビしたテンポでありながら、ラテン系の演奏に比べるとややダークな色彩と透明感をもっているため落ち着きを感じさせます。ソリストもオーケストラも集中力が強く、ちょっと生真面目さを感じさせるところもいかにも北欧的。カウンターテナーのミカエル・ベッリーニの歌唱は、女声アルトと変わらないほど自然な声質が美しく、全く違和感を感じさせません。名盤「カンターテ・ドミノ」をはじめ超優秀録音で知られるPROPRIUSレーベルの新しい録音で、声の美しい響きやギターや弦楽器のリアルなサウンドは素晴らしいもの。