ミハイル・プレトニョフ（指揮）／ロシア・ナショナル管弦楽団
録音：2011年3月、モスクワ モスフィルム・レコーディング第１スタジオ
ONDINE【フィンランド輸入盤】
ミハイル・プレトニョフは超絶テクニックを誇るロシアのピアニストですが、1990年にロシアで初めての民営の自主オーケストラ「ロシア・ナショナル管弦楽団」を組織して以来、指揮者としても活躍しており、様々なレーベルに積極的に録音をしています。2010年にはスキャンダルで話題になったプレトニョフですが、彼がチャイコフスキーのバレエ音楽に寄せる思いは格別のものがあるのではないでしょうか？プレトニョフがピアノ独奏用に編曲したヴァージョンは、高い技巧性と音楽性を兼ね備えており、今でも人気が高く愛好する人が途絶えません。指揮者としてのプレトニョフは、表現意欲が強すぎて大胆なほどアクの強い演奏をすることもしばしばながら、この演奏は作品のオリジナリティを尊重したごく真っ当な解釈で、とても丁寧な仕上がりです。手兵のロシア・ナショナル管弦楽団もロシア的な泥臭さは全くありません。洗練されたバランスの良い響きは耳に心地よく、力強くいフォルテも決して乱暴になりません。20年以上のコンビらしい、まさに「水を得た魚」状態とでも言う他ありません。煌めく音の粒、はじける楽想。どこもかしこも楽しげに輝いています。プレトニョフが得意とする第２幕の「パ・ド・ドゥ」は見事！録音も良く、近年出色の「くるみ割り人形」としてオススメです。
