ミカロユス・チュルリョーニス(1875-1911)：
1. 交響詩「森の中で」(1901)
2. 交響詩「海」(1907)
3. カンタータ「デ・プロフンディス(深淵より)」
ユオザス・ドマルカス（指揮）／リトアニア国立交響楽団、カウナス国立合唱団(3のみ)
録音：2000年3月、リトアニア国立フィルハーモニー・ホール
NORTHERN FLOWERS【ロシア輸入盤】
ミカロユス・チュルリョーニス(1875-1911)はリトアニアの国民的英雄と目される画家・作曲家で、特に絵画では他に類を見ないほど独創的な作品を数多く残しカンディンスキーにも影響を与えています。2011年はチュルリョーニスの没後100年だったにも関わらず、日本ではマーラー没後100年にかき消されて全くと言っていいほど騒がれませんでしたが、遅ればせながらリトアニアの音楽家たちの演奏による管弦楽曲全集がリリースされました。
チュルリョーニスは絵画、作曲の両方で一流の仕事を残した芸術史上稀な芸術家ですが、その絵画の神話的、幻想的、超現実的な世界は一度見たら忘れられないほど強烈な個性を持ち、大きな影響を与えたと言われます。また、かのオリヴィエ・メシアンもその宗教的な崇高さ、エクスタシーに霊感を受けたと語っています。晩年は精神の病のため不遇であったと伝えられます。作曲家としてのチュルリョーニスは、ショパンの強い影響を感じさせるピアノ曲をたくさん残しており、CELESTIAL HARMONIESレーベルからリリースされているピアノ作品全集でその全容を知ることが出来ます。また弦楽四重奏曲のための作品全集も先般NORTHERN FLOWERSレーベルから発売になっています。
チュルリョーニスが残した管弦楽曲は少ないのですが、ワーグナーやＲ・シュトラウスの影響を感じさせる華麗なオーケストレーションとハーモニー、壮大さは作品数の多寡など忘れさせてしまいます。このアルバムも全集といいながらたったの３曲。かつてMARCO POLOレーベルでやはりチュルリョーニス作品集を録音したリトアニアの巨匠ユオザス・ドマルカスが手兵リトアニア国立交響楽団を率いて満を持しての再録音です。自国の作曲家への愛情と畏敬の念が強く感じられる素晴らしい演奏で、丁寧なアンサンブルが好印象。交響詩「森の中で」や交響詩「海」の悠然としたスケール感と情熱的な表現はたいへん見事で、これまでのベストの演奏かも知れません。声楽つきのカンタータ「深淵より」は、非常に珍しい録音であり、チュルリョーニス・ファンには堪らない逸品です。
