ＣＤ１：
1-3. ヴァイオリン・ソナタ第１番 ニ長調 Op.12-1
4-6. ヴァイオリン・ソナタ第２番 イ長調 Op.12-2
7-9. ヴァイオリン・ソナタ第３番 変ホ長調 Op.12-3
10-12. ヴァイオリン・ソナタ第４番 イ短調 Op.23
ＣＤ２：
1-4. ヴァイオリン・ソナタ第５番 ヘ長調 Op.24「春」
5-7. ヴァイオリン・ソナタ第６番 イ長調 Op.30-1
8-11. ヴァイオリン・ソナタ第７番 ハ短調 Op.30-2
ＣＤ３：
1-3. ヴァイオリン・ソナタ第８番 ト長調 Op.30-3
4-6. ヴァイオリン・ソナタ第９番 イ長調 Op.47「クロイツェル」
7-10. ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 Op.96
ジョセフ・フックス（ヴァイオリン）、アルトゥール・バルサム（ピアノ）
録音：1952年4-6月（モノラル）
NAXOS【香港輸入盤】
ジョセフ・フックス（1899-1997）はアメリカの偉大なヴァイオリニストで、音楽教師としても大きな功績を残しました。ニューヨーク音楽芸術研究所（ジュリアード音楽院の前身）を卒業し、20歳代にしてすでにクリーヴランド管弦楽団のコンサートマスターに迎えられるほどの腕前でした。1940年にコンサートマスターを辞任し、以後はソリストとしての活動を行い、アメリカ国内外でコンサートやレコーディングを活発に行いました。1946年からはジュリアード音楽院のヴァイオリン科の教授に就任し、たくさんの後進を育て上げ、日本人ではこのアルバムで共演している藤原浜雄や渡辺玲子の師匠に当たります。フックスは90歳になっても教育者として精力的に活動し続けるかたわら、演奏活動も続けていました。
このアルバムはフックスが50歳代の壮年期のレコーディングで、あのハロルド・Ｃ・ショーンバーグも大絶賛したというだけあって、いま聴いても驚くほど完成度の高い名演です。長年のパートナーであった名ピアニスト、アルトゥール・バルサムとの共演ということもあり、技術至上主義な音楽とは全く次元の違うといってもよいほど音楽的な深みをもった演奏になっているのは凄いこと。温かみのある音色と卓越したテクニックでベートーヴェンのソナタを細部まで丹念に表現し尽くし、ヴァイオリンという楽器の魅力を最大限に伝えてくれます。早めのテンポできびきびと奏でられる「春」の優美さ、「クロイツェル・ソナタ」の漲る緊張感、良く歌うヴァイオリン、流麗なピアノ、全てにおいて申し分ありません。演奏者の表現意欲と音楽への真摯な姿勢がにじみ出た素晴らしいアルバムで、数あるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集のベストを争うといっても過言ではありません。モノラルながらマスタリングも良く、聴きやすい音質です。オススメ。
本来は各１枚ずつの分売ですが、３枚セットでのご提供となります。
