ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827):
・交響曲第1番 ケルン放送響 録音:1954年10月25日
・交響曲第2番 ベルリンRIAS響 録音:1958年3月29日
・交響曲第3番「英雄」 ベルリンRIAS響 録音:1958年3月29日
・交響曲第4番 アムステルダム・コンセルトヘボウ管 録音:1956年5月9日
・交響曲第5番 ロサンゼルス・フィル 録音:1934年1月1日
・交響曲第6番「田園」 ベルリンRIAS響 録音:1954年2月15日
・交響曲第7番 北ドイツ放送響 録音:1955年9月28日
・交響曲第8番 ケルン放送響 録音:1955年5月28日
・交響曲第9番「合唱付き」 アムステルダム・コンセルトヘボウ管 録音:1956年5月17日
グレ・ブロウエンシュタイン(Sp)、アニー・ヘルメス(A)、エルネスト・ヘフリガー(T)、ハンス・ウィルブリンク(Br)
※指揮は全てオットー・クレンペラー
MEMORIES【イタリア輸入盤】
今までありそうでなかったクレンペラーのライヴ録音ばかりを集めたベートーヴェン全集です。「運命」のみ1934年と極めて古い時代の録音なので、かなり聞きづらい音質ですが、その他は病を乗り越えたクレンペラーがヨーロッパで尊敬を一身に集めた1950年代中盤から後半の素晴らしい名演ばかりです。クレンペラーはフィルハーモニア管とも優れたベートーヴェンの交響曲全集を遺していますが、ドイツの強豪オケやアムステルダム・コンセルトヘボウ管の重厚なサウンドはクレンペラーのヘビーな解釈によく合っていて、それぞれのオケの個性を聴き比べるのも楽しいものです。この頃のクレンペラーは健康で活力に満ちていた時期なので、のちの演奏よりも速めのテンポで推進力があり、巨大なスケール感はありません。奇をてらった部分もなく、正攻法のアプローチで聴き手を惹きつけています。引き締まった堅めの響きと切れ味の良いリズムといったクレンペラーの持ち味が充分に活かされた気合いの充実した演奏ばかりで、関係の深かったケルン放送響との第1番や第8番が特に優れています。また相性の良かったコンセルトヘボウ管と第4番や第9番も抜群で、コンセルヘボウ管の温かみのある音色と技術的な巧さには脱帽もの。特に第9番はMusic&Artsレーベルからも復刻されて話題になった伝説の名演です。ベルリンRIAS響との「田園」も予想外のしなやかな美演で、ズッシリした響きの第2番も堂々たる秀演。いずれもクレンペラー・ファンには見逃せない貴重なライヴ録音集であることは間違いありません。また50年以上前の録音にも関わらず、おおむね音質は良好です。ただ、古いマスターを使用しているため、一部に音ゆれや音とびがありますので、予めご了承下さい。