1-6. クレープス(1713-1780)／ソナタ ト長調
7-9. クヴァンツ(1697-1773)／ソナタ ニ長調
10-12. Ｗ・Ｆ・バッハ(1710-1784)／トリオ ニ長調
13-19. テレマン(1681-1767)／トリオ ハ長調
20-22. ペープシュ(1667-1752)／トリオ ト短調
23-26. ルイエ(1680-1730)／トリオ ト短調 Op.1
ジャン・ピエール=ランパル（フルート）
マリオ・デュシュネ（フルート，リコーダー）、ケネス・ギルバート（チェンバロ）
初出：1963，1964年 再発売：2007年
ORION(MARQUIS)【カナダ輸入盤】
バロック期の作曲家たちのフルート・ソナタ集。ゲオルク・フォリップ・テレマン(1681-1767)は、バッハやヘンデルと同世代の作曲家で、その頃はバッハやヘンデル以上に有名で人気があったそうです。そのテレマンはたいへんな多作家で、当時最もポピュラーな楽器のひとつであったリコーダーのための作品もたくさんあります。テレマンのリコーダー作品はバッハほど深遠でもなく、ヘンデルほど明朗・平易でもありませんが、適度に明るく快活なわりにしかも技術的にはそれなりに高度なことも盛り込んだものです。また、Ｊ・Ｓ・バッハの長男ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(1710-1784)やバッハの高弟だったヨハン・ルートヴィヒ・クレープス(1713-1780)の作品はは、Ｊ・Ｓ・バッハの作風を色濃く残しています。ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ(1697-1773)は、ドイツの名フルート奏者で作曲家でもあった人。プロイセンのフリードリヒ２世（大王）のフルート教師となり、フルート好きであった大王から寵愛を受け、フルート作品をたくさん残しています。クヴァンツのフルート作品はキッチリ筋が通った真面目さがあり、上品さと憂愁を併せ持っています。ヨハン・クリストフ・ペープシュ(1667-1752)とジャン=バティスト・ルイエ(1680-1730)は、それぞれドイツ出身、ベルギー出身ながら主にイギリスで活躍した作曲家。ペープシュは、「エンシェント室内管弦楽団」を設立したり、オックスフォード大学の音楽教師としてエリザベス１世時代の音楽の研究と演奏に貢献しましたが、彼のリコーダー作品はなかなか聞くことができない珍しい録音です。ジャン=バティスト・ルイエは、優れたチェンバロ奏者であり、管楽器も非常に巧かったためロンドンでは大歓迎を受けました。ルイエは数多くのフルート作品を残しており、その明るく優雅な音楽はいまなお広く愛され続けています。
このアルバムは、何といっても演奏がジャン=ピエール・ランパル(1922-2000)というところが注目です。ランパルはフランスのフルート奏者で、20世紀の最も偉大なフルート奏者の一人として活躍し、あらゆるフルート作品を演奏・録音しました。カナダのMARQUISレーベルが敢えて復刻ＣＤ化しただけに、ランパル・ファンには見逃せない貴重なアルバムです。
