アントニオ・ロゼッティ(1750-1792):ハープのための6つのソナタ Op.2
1. ハープ・ソナタ ヘ長調 D.19
2. ハープ・ソナタ 変ホ長調 D20
3. ハープ・ソナタ 変ロ長調 D21
4. ハープ・ソナタ ト長調 D22
5. ハープ・ソナタ 変ロ長調 D23
6. ハープ・ソナタ ハ長調 D24
ヤン・ラディスラフ・ドゥシーク(1760-1812):
7. ハープ・ソナタ 変ホ長調 Op.34-1
8. ハープ・ソナタ 変ロ短調 Op.34-2
9. ハープ・ソナタ ヘ長調「リッチモンドの丘の少女」
10. ハープ・ソナタ 変ロ短調 Op.21-1
スーザン・マクドナルド(ハープ) 録音:1971年 発売:2006年
MARQUIS【カナダ輸入盤】
アントニオ・ロゼッティ(1750-1792)は、モーツァルトと同時期に活躍したボヘミアの作曲家で、レスレルとも呼ばれることがあります。ドイツの宮廷を中心としてヨーロッパ全域で活躍し、たくさんの交響曲や管楽器のための作品を残しており、モーツァルトに最も近い作曲家として近年はじわじわ人気を高めています。そのロゼッティのハープ・ソナタは全部で6曲あり、1785年に出版されました。正式には「ハープまたはクラヴサンのためのソナタ」といわれ、チェンバロで演奏されることもあるそうですが、むしろハープのための重要な作品として定着しています。まとまった録音は珍しいので、ハープ・ファンやロゼッティ・ファンにとっては貴重なディスクでしょう。作品自体はどれも7分前後の3楽章形式で、まさに古典的な美を感じさせる均整のとれた清楚で可愛らしい音楽です。
一方、同じボヘミアの作曲家ヤン・ラディスラフ・ドゥシーク(1760-1812)は、日本ではドゥセック、ドゥシェック、デュセックなどといろいろな呼び方をされていてややこしいところがありますが、彼のピアノのためのソナチネはピアノ学習者にとってはとても馴染み深い作品です。ドゥシークの母親も夫人もハープ奏者であったことから、ハープのための作品も多く、古典派の時代でありながらロマンチックでしかも分かり易い作風で、ピアノに劣らぬ優れた作品ばかりです。しかし、一般にハープに詳しい方以外は耳にされる機会がさほど多くないのが残念。このアルバムは、そのドゥシークのハープ作品を一堂に集めた画期的なアルバムで、色男でヨーロッパ中で浮き名を流したドゥシークらしい甘い旋律と才能に満ちたハープ音楽は確かに魅力があります。
ハープのスーザン・マクドナルドは、アメリカの最も著名なハーピストであり、インディアナ大学にて名誉教授として活動し吉野直子など数多くの優れたハープ奏者を育てている優れた教育者でもあります。このアルバムでも几帳面に整えられた模範的な美演を聞かせてくれます。