ベートーヴェン：
1-4. 交響曲第９番 ニ短調 Op.125「合唱」
5-6. 弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135より第２＆３楽章（弦楽合奏による）
アルトゥーロ・トスカニーニ／ＮＢＣ交響楽団、同合唱団
ヴィーナ・ボヴィ(ソプラノ)、ケルステン・トルボルイ(コントラルト)
ヤン・ピアース(テノール)、エツィオ・ピンツァ(バス)
録音：1938年2月6日、カーネギーホール(1-4)、1938年1月1日(5-6)、ライヴ
MUSIC&ARTS【アメリカ輸入盤】
1937年12月25日に御披露目となったトスカニーニとNBC交響楽団のコンビによる初期のライヴ録音で、「交響曲第９番」は通常のNBCの放送用の演奏ではない慈善演奏会のもの。トスカニーニのスタンスはBBC交響楽団や翌年のベートーヴェン・チクルスでの演奏と全く変わりませんが、まだ新鮮さが色濃い船出直後の「初心」と、極めて優秀なソリストによって、祝典的ムードも強く感じられるものになっています。フルトヴェングラーのバイロイト盤にも比肩しうる熱い演奏ですが、演奏時間はフルトヴェングラーより10分も短い64分ほどであり、スピード感と切れ味が鋭く、強靱無比な圧倒的な演奏です。
「弦楽四重奏曲第16番」の第２＆３楽章は、「七重奏曲」とならんでトスカニーニが好んで合奏で演奏したもので、1938年3月のNBC交響楽団との初のディスク録音セッションでも取り上げられました。これはその年の元旦の演奏会でのライヴ。トスカニーニが弦に求めるアンサンブル精度と柔軟な運動能力が克明に聴き取れ、興味が尽きません。
