1. ドナート・ロヴレリオ／ヴェルディの「椿姫」による演奏会用幻想曲
2. アーサー・ベンジャミン／「ラヴェルの墓」（ヴァルス・カプリース）
3. ドビュッシー／第１ラプソディ
4-6. プーランク／クラリネット・ソナタ
7-10. サン=サーンス／クラリネット・ソナタ Op.167
11. ドビュッシー／小品
12. エルネスト・カヴァリーニ／ヴェニスの謝肉祭（Es管クラリネットのための）
橋本杏奈（クラリネット）、ダニエル・スミス（ピアノ） 録音：2009年9月
MERIDIAN【イギリス輸入盤】
橋本杏奈（はしもとあんな）さんは、1989年生まれの若きクラリネット奏者で、主にロンドンに在住しています。９歳より６年間王立音楽大学ジュニア部にてチャールズ・ハインに師事、その間数々の賞を授与されました。日本においても第３回ヤング・クラリネッティスト・コンクール（18歳以下）において第１位及び全ての副賞を獲得し、翌年には第６回日本クラリネット・コンクールに最年少（中学３年生）で入選。橋本杏奈さんは12歳よりイギリス各地で演奏活動を行い、15歳でイギリス室内管とコンチェルト・デビューを果たし、度々共演を重ねています。現在は王立音楽院に在籍しており、特待生としてマイケル・コリンズの下に研鑽を重ねていています。
このアルバムは、おそらく彼女のデビュー盤と思われますが、とても20歳の学生の演奏とは信じられないほど余裕のある演奏で、技術の素晴らしさもさることながら、何よりその音楽性の高さに驚かされます。第一線のプロたちがこぞって演奏するドビュッシーやプーランク、サン=サーンスといったフランスの名曲をこれほど爽やかで品位の高い音楽に仕上げてしまうセンスは脱帽ものです。「椿姫」幻想曲や「ヴェニスの謝肉祭」も流暢そのもので、透明感のある艶やかなクラリネットの音色で軽やかに歌い上げています。やや遠くから聞こえてくるようなちょっと控えめの柔らかい音ながら、その響きは意外なほど遠くまで通るようで、結果としてピュアで滋味あふれる美しい音色に感じられます。またイギリスの伝統を感じさせる上品な表現からは、演奏者の個性よりも音楽そのものに奉仕する謙虚な姿勢が感じられます。近年稀にみる優れた逸材の登場です。オススメです。未開封新品です。
「橋本杏奈さんの演奏を初めて聞いたのは２００３年、日本クラリネット協会主催による「ヤング・クラリネッティスト・コンクール」でのこと。まだ１４才の彼女のその驚異的なテクニックに舌をまいた。そのコンクールでの全ての賞をかっさらうほどのインパクトを審査員にもたらした。日本の管楽器業界に天才が現れた瞬間だった。その後、２００５年の国際クラリネットフェストでは、彼女のために作曲された新曲をひっさげて東京に舞い戻ってきた。まだ１７歳の若さとは思えない音楽性を持って。これまで世界中に何人もの天才クラリネット奏者が存在した。ケル、ランスロ、ペイエ、ライスター、メイエ、マイヤー・・・。古くはブラームスに晩年の光を与えたミュールフェルトや、モーツァルトに数々の名曲をもたらしたシュタードラー。一世紀後に、彼女もこの列に並ぶのであろうか。その彼女がついにＣＤデビューした。ロンドン在住のため、彼女の演奏に接する事はなかなか叶わない。是非このＣＤを聞いて、クラリネットという木管楽器の限りない可能性を感じて欲しい。」（昼田純一，日本クラリネット協会・常任理事，ジェイズ・ミュージック主宰）
