1-4. ブラームス(1833-1897)／ホルン三重奏曲 変ホ長調 Op.40
5-8. ケクラン(1867-1950)／４つの小品
9-13. ハインツ・マルティン・ロンクィッチ(1937-)／ホルン三重奏曲
14-19. フリードリヒ・ウィルヘルム・ハンス(1955-)／６つの実行されない耳あて
ケルン・ホルン・トリオ
デイヴィッド・ブライアント（ホルン）、ジョフリー・ホアルトン（ヴァイオリン）
ミヒャエル・グローブナー（ピアノ） 録音：1993年4月6-8日
ANTES【ドイツ輸入盤】
ケルン・ホルン・トリオは、1987年に設立されたドイツのアンサンブル。ホルンのデイヴィッド・ブライアントはメイソン・ジョーンズに師事したアメリカのホルン奏者で、以前はフィラデルフィア管弦楽団のホルン奏者を務めていましたが、ドイツへ渡り、1983年からケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団に所属しています。ヴァイオリンのジョフリー・ホアルトンもアメリカのヴァイオリニストですが、1981年からケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のコンサートマスターを務めています。ピアノのミヒャエル・グローブナーはドイツのピアニストで、ケルン音楽大学で学んだ俊英です。ケルン・ホルン・トリオは日本ではあまり知名度は高くありませんが、このアルバムは彼らの実力を示した優れた内容です。
有名なブラームスの「ホルン三重奏曲」は、均整の取れたバランスと緻密なアンサンブルが見事で、終始安定感のある落ち着いた演奏です。ホルンのブライアントが飛び出ることなく、ピアノやヴァイオリンとともに全体の響きを作り上げています。表現はあくまでスタンダードながらよく歌い上げており、お手本のように美しくまとまった演奏です。さらに素晴らしいのはフランスの作曲家ケクラン(1867-1950)の「４つの小品」。名手タックウェルの演奏でよく知られている作品ですが、ケルン・ホルン・トリオの演奏はデリケートな美しい響きやロマンチックなメロディの歌わせ方が巧みで、この曲の魅力を出し切っています。ロンクィッチ(1937-)の「ホルン三重奏曲」やハンス(1955-)の「６つの実行されない耳あて」は、かなり珍しい現代作品ながら、こちらも大変立派な演奏です。ロンクィッチの「ホルン三重奏曲」の硬派な現代音楽を、エッジの効いたアクセントでパワフルに演奏して、聴き手をドキドキさせます。反対にハンスの作品は、フワフワとした掴み所のない幻想的な響きがユニークです。
