アーロン・コープランド(1900-1990):
1-5. 劇場のための音楽
6-7. ヴァオリンとピアノのための2つのバラード
8. ヴァイオリンとヴィオラのためのエレジー
9. エル・サロン・メヒコ(トスカニーニ編ピアノ独奏版)
10. 「アパラチアの春」組曲(オリジナル版)
ユージン・ドラッカー(Vn)、ローレンス・ダットン(Vla)、ダイアン・ウォルシュ(P)
スティーヴン・リッチマン(指揮)/ニューヨーク・ハーモニー・アンサンブル 録音:2002年2月
BRIDGE【アメリカ輸入盤】
世界初録音2曲を含むコープランドのレアな曲目ばかりのアルバム。かの名指揮者トスカニーニがピアノ・ソロ用に自ら編曲したという「エル・サロン・メヒコ」は、トスカニーニがNBC交響楽団を指揮する準備として勉強のために用いたもの。トスカニーニのアーカイヴに長らく眠っていたものを指揮者のリッチマンが発見し、ピアニストのダイアン・ウォルシュが世界初録音したとのことです。オーケストラのようなダイナミックさはありませんが、逆にエル・サロン・メヒコの得意なリズムや曲の構造がハッキリ分かり、演奏も優れているのでとても面白く聴くことができます。
また、「ヴァオリンとピアノのための2つのバラード」も世界初録音。未完成のヴァイオリン協奏曲のスケッチを元に、ラメイとラーナーという2人がヴァイオリンとピアノのための2つの小品として改訂し、コープランドの承認を得たというものです。これがまた優れた曲と演奏で、ユージン・ドラッカーのヴァオリンが非常に雄弁に語りかけてきます。演奏機会の少ない「ヴァイオリンとヴィオラのためのエレジー」も同様に優れた演奏で、コープランドの室内楽を代表する名演の登場とも言えるでしょう。
最後の「アパラチアの春」組曲も13楽器のためのオリジナル版で、ストラヴィンスキーを聴くかのような軽快なリズムと斬新な響きが聞きものとなっています。こちらのバージョンの方が好きという人もけっこう多いかも知れません。「劇場のための音楽」とともにリッチマン指揮のニューヨーク・ハーモニー・アンサンブルが冴えた演奏をしており、広くオススメできます。もちろんコープランド好きは必携のアルバムです。