1.ミラン・スラヴィツキー(1947-2009)/祈り?(無伴奏ヴィオラのための)(*)
2.ミハル・ミュレル(1956-)/黙示録(ヴィオラとプリペアード・ピアノのための(+))
3.スヴァトプルク・ハヴェルカ(1925-2009)/静かな幸福(無伴奏ヴィオラのための)(*)
4.マレク・コペレント(1932-)/ヴィオラとピアノのためのトッカータ(#)
5.ヴァーツラフ・クチェラ(1929-)/エレジアコ・アッパショナート(無伴奏ヴィオラのための)(**)
ヤン・ピェルシュカ(ヴィオラ)、ダニエル・ヴィスネル(プリペアード・ピアノ(+)、ピアノ(#))
録音:2010年6月28日、プラハ、ヤコブのはしご教会(*)
2010年7月1日(+/#)、2009年12月17日(**)、プラハ、スタジオ・マルチーネク(+/#/**)
ARTESMON【チェコ輸入盤】
ヤン・ピェルシュカ(1951年生まれ)は1977年から1985年までプラハ交響楽団の首席を務め、1985年よりスタミツ弦楽四重奏団の一員として活躍しているチェコのヴィオラ奏者です。すでに当アルテスモン・レーベルにたくさんの録音をしており、いずれもヴィオラ・ファンから高い人気を得ています。彼のヴィオラはメカニックな巧さよりも素朴で温かな歌を感じさせ、たっぷりした音色で朗々と弾いて聴き手をリラックスさせてくれますが、このアルバムではチェコの現代作曲家の作品を集めているだけに、いつもよりグッと切れ味が鋭く、緊張感が張りつめています。スラヴィツキー(1947-2009)の「祈り?」やクチェラ(1929-)の「エレジアコ・アッパショナート」は、いずれも6分ほどの小品ながら、ヴィオラ一本の表現力をフルに使い切った激しい音楽で、聴き手の心に痛切に訴えかけています。ピアノ伴奏がついたコペレント(1932-)の「トッカータ」やミュレル(1956-)の「黙示録」は、いかにも現代音楽らしいユニークな技法が盛り込まれており、先の読めないスリル感があります。「トッカータ」の方はほとんどヴィオラがメインとなっているのに対し、「黙示録」では伴奏のプリペアード・ピアノが活躍するのもユニーク。プリペアード・ピアノとは、ピアノの弦にボルトやナット、ねじやゴムなどを挟み込み、予想のつかない音色と響きを得るという、現代音楽の雄ジョン・ケージの発明した楽器です。ただ、ここではピアノの音色を大きく変えているわけではなく、音域の一部やフレーズの一部分にプリペアード効果を用いて音色に変化を持たせているだけのようです。