1-3. テレマン(1681-1767):3つのトリエットと3つのスケルツォ(1731、ハンブルク)から
2つのヴァイオリンと通奏低音のためのスケルツォ第2番ホ長調 TWV42:E1
4-7. テレマン:フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのトリオ・ソナタ イ短調 TWV42:a7
8-11. C・P・E・バッハ(1714-1788):2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ニ短調 Wq145(BWV1036?)
12-15. J・S・バッハ(1685-1750):フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ト長調 BWV1038(1720頃)
16-18. C・P・E・バッハ:フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ロ短調 Wq143(1731/1747改訂)
19-24. テレマン:フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのパリ四重奏曲第6番 TWV43:C4
ヤープ・シュレーダー(ヴァイオリン)
ヒポカンプス
フェルナンド・パス(フラウト・トラヴェルソ)
カースティン・リンダー=デーヴァン(ヴァイオリン)
ジョルディ・コメーリャス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アルベルト・マルティネス・モリーナ(チェンバロ)
録音:2006年、スペイン、サラゴサ県ダローカ、聖ドミンゴ教会
ARSIS【スペイン輸入盤】
ピリオド楽器奏者の先駆者である名匠ヤープ・シュレーダーと孫の年齢のようなスペインの新鋭古楽器アンサンブル、ヒポカンプスによる共演。録音時点でおそらく80歳近かったと思われるシュレーダーですが、まだまだ情熱は枯れることなく、その健在ぶりを示しています。孫のうち二人がスペイン国籍という彼は音楽活動面でもスペインとのつながりが深く、この録音もヒッポカンプスとのライヴ共演をきっかけに実現したとのことです。若き古楽器奏者たちのフレッシュな息吹きの中で、シュレーダーも予想以上に伸び伸びと演奏しており、正直意外なほど溌剌とした演奏です。
アルバムの「趣味の融合」とは、作曲家クヴァンツ(1697-1773)が彼の同時代・18世紀前半のドイツ音楽に特徴的であった、イタリアとフランスからの影響と融合した様式を評した言葉。テレマンとC・P・E・バッハ、J・S・バッハのトリオ・ソナタがこれほど華やかな響きをもち、さらにロココ的な趣味のよい演奏に仕上がっているのは極めて稀なこと。まさに「趣味の融合」といえる素晴らしい演奏です。それも大ベテランのシュレーダーと若きヒポカンプスとの音楽センスの融合がなせる技といえるでしょう。録音も演奏も優秀で、のんびり寛いで聴くには最高のアルバムです。かなりのオススメです。