アレクサンデル・タンスマン(1897-1986):
1-10. マズルカ集第1巻(アルベール・ルーセルに献呈;1918-1928)
11-19. マズルカ集第4巻(1941)
20-21. アルトゥール・ルービンシュタインへのオマージュ(2つの小品;1973)
エルジビェタ・ティシェツカ(ピアノ)
録音:2005年7月、ポーランド放送ウーチ支局スタジオ
ACTE PREALABLE【ポーランド輸入盤】
アレクサンドル・タンスマン(1897-1986)は、ポーランドに生まれましたが22歳の時にパリ移住し、ピアニスト・作曲家として活躍したという、ショパンに似た経歴を持つ作曲家。最近は取り上げられる機会が増えつつあるものの、日本ではまだまだ知名度は高いとはいえません。ピアノ曲や管弦楽曲などたくさんの作品がありますが、ピアノ作品の録音はまだ珍しく、タンスマンのマズルカを集めたこのアルバムは貴重なものといえるでしょう。「マズルカ集」は前衛的なものとは無縁の分かり易い音楽で、ポーランドのマズルカの形式をとりつつも、フランスのエスプリを感じさせる洒落たもの。フランス六人組の一人、ルーセルに捧げられた最初期の第1巻は、まさに六人組の影響感じさせる機知に富んだ心地よい作品です。第4巻の方はより複雑なトーンを持ち、第2次世界大戦の渦中で祖国ポーランドやフランスがナチスに占領された時代ならではの苦悩を内包しているようです。晩年の作品である「アルトゥール・ルービンシュタインへのオマージュ」は、もちろん同じポーランド人の大ピアニストに捧げられた作品で、晩年のタンスマンらしいちょっと晦渋な現代的サウンドが特徴です。