リヒャルト・ワーグナー（1813-1883）：
1. 舞台神聖祭典劇「パルジファル」から 前奏曲
2. 楽劇「ワルキューレ」から ワルキューレの騎行
3. 楽劇「ジークフリート」から 森のささやき
4-5. 楽劇「神々の黄昏」から ジークフリートのラインへの旅，ジークフリートの葬送音楽
6. 楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲と愛の死
ユーリ・シモノフ（指揮）／フィルハーモニア管弦楽団
録音：1991年8月、ロンドン、セントジョンズ・スミス・スクエア
初出：Collins Classics ライセンサー：Phoenix International Music Ltd.
ALTO【イギリス輸入盤】
ユーリ・シモノフ（1941-）はロシアの指揮者で、20台の頃はレニングラード・フィルでムラヴィンスキーの助手を務め、30歳にしてボリショイ歌劇場の首席指揮者となった実力者。長らく劇場で活躍し、のちモスクワ音楽院の指揮科教授としても活躍、現在はモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めています。シモノフは様々なレーベルに録音を残しており、いまでは珍しいほどブラスセクションや打楽器を豪快に鳴らしたロシア風の演奏やユニークなバトン・テクニックは、一部のファンからカルト的な人気を得ているほど。来日も多く、モスクワ・フィルやＮＨＫ交響楽団を率いたコンサートも大好評を博し、人気急上昇中の注目の指揮者です。オペラ指揮者としてはもちろん、古典派やロマン派の音楽までそのレパートリーは広大で、とりわけチャイコフスキーやラフマニノフ、ハチャトゥリアンなどのロシア音楽に定評があります。
このワーグナーのアルバムはシモノフの代表的な録音であり、かつてCollinsレーベルなどからリリースされていました。しかし、現在はいずれも入手困難となっていたので、ファンにはうれしい復刻です。爆演指揮者としてカルト的な人気を誇るシモノフですが、このワーグナーは比較的安全運転のオーソドックスな音楽作りで、ワーグナーの濃密な音楽をごく丁寧に演奏しています。「パルジファル」の前奏曲や「ジークフリート」の「森のささやき」における雄大なスケール感と情景の描写力はなかなか巧み。さらに「神々の黄昏」の「ジークフリートのラインへの旅」とジークフリートの葬送音楽」は、ねっとりした歌い口に加えて、ものすごい迫力とスケールがあって圧巻！リミッターがないように巨大な音楽が広がっていく名演です。
