ヴァレリー・ゲルギエフ（指揮）／マリインスキー(キーロフ)劇場管弦楽団、同合唱団
録音：1998年8月、ドイツ、バーデン・バーデン
DECCA【イギリス輸入盤】
ヴァレリー・ゲルギエフ(1953-）は、現在世界各地で大活躍中のロシアの指揮者。レニングラード音楽院（現サンクトペテルブルク音楽院）でイリヤ・ムーシンに師事し、指揮法を学び、にカラヤン指揮者コンクールで第２位、全ソ連指揮者コンクールで第１位を獲得しました。音楽院の卒業後には、テミルカーノフの助手としてキーロフ劇場（現マリインスキー劇場）の指揮者となり、1988年にはわずか35歳にしてキーロフ劇場芸術監督に就任しました。ソ連崩壊の混乱期に遭遇し、劇場経営は困難を極めましたが、ゲルギエフは、ダイナミックでありながら緻密な演奏を行い、アンナ・ネトレプコなど多くの新人歌手を発掘し、マリインスキー劇場を世界的な地位へと引き上げました。1996年には劇場の総裁に就任し、また2007年からはロンドン交響楽団の首席指揮者に就任して、次々に新たなアルバムをリリースして好評を博しています。
この「くるみ割り人形」は、同曲の初演を行ったことで知られる伝統的なマリインスキー(キーロフ)劇場と劇場での経験が豊富なゲルギエフによる名演奏として、リリース時から大いに話題になったもの。録音を行ったフィリップス・レーベルでは、全曲盤であるにも関わらず、80分超を１枚のCDに収録したため、非常にお買い得なアルバムとなっています。実際どの曲もテンポはかなり速めで、各トラック間のインターバルが短く設定されており、流れるような構成と演奏になっています。その快速ぶりは好みが分かれるところかも知れませんが、ゲルギエフのダイナミックかつ繊細で緻密な演奏は実に鮮やかで、次々と繰り出される美しいメロディをチャーミングに描き分けていて、この曲の魅力をたっぷりと伝えています。薄型デジパック・ケースです。
