ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)：
ＣＤ１：交響曲第１番、交響曲第２番、レオノーレ序曲第１番
ＣＤ２：交響曲第３番「英雄」、レオノーレ序曲第２番
ＣＤ３：交響曲第４番、交響曲第５番「運命」
ＣＤ４：交響曲第６番「田園」、フィデリオ序曲
ＣＤ５：交響曲第７番、交響曲第８番
ＣＤ６：交響曲第９番「合唱」
ダニエル・バレンボイム（指揮）／シュターツカペレ・ベルリン
ソイレ・イソコスキ（ソプラノ）、ローズマリー・ラング（アルト）
ロバート・ギャンビル（テノール）、ルネ・パーペ（テノール）
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 録音：1999年5-7月、ベルリン
TELDEC【ヨーロッパ輸入盤】
フルトヴェングラー信奉者として知られるバレンボイムにとって初めてのベートーヴェン全集。バレンボイムは、関係の深いベルリン・フィルやシカゴ響ではなく、敢えてシュターツカペレ・ベルリンと組んでこの録音に臨んだ経緯を解説で詳しく述べており、旧東ドイツのオケならではのドイツの伝統的な音色を持つアンティーク家具のようなシュターツカペレ・ベルリンを起用しました。低音のズッシリした重量感など質実剛健なサウンドは昔と変わりませんが、スウィトナー時代の芳醇で古風な音色とはまた異なっており、アンサンブルや響きは現代風の垢抜けたものに変わっています。バレンボイムの音楽づくりも極めて真面目で情熱的であり、指揮者の個性や解釈を押しつけることのない正統派の演奏です。歌心に満ちた表現や明晰な音楽作りなどセンスも良く、風格さえ漂う立派な全集に仕上がっています。日本では必ずしも高いとはいえない指揮者バレンボイムですが、これは会心のアルバムといえるでしょう。スリム・ボックスです。
