1-4. アンソニー・プロッグ(1947-)/コンチェルト2010(2010)
5. アルフレッド・リード(1921-2005)/ワーグナーのポラッツィの主題による変奏曲(1983)
6-8. デイヴィッド・マスランカ(1943-)/交響曲第8番(2008)
ボビー・R・フランシス(指揮)/テキサス・クリスチャン大学ウィンド・シンフォニー
アメリカン・ブラス・クインテット(1-4)
発売:2012年
ALBANY【アメリカ輸入盤】
アンソニー・プロッグ(1947-)はトランペット奏者であり、金管楽器や金管アンサンブルのための作品からオーケストラのジャンルに至るまでの幅広いジャンルで作曲活動も行っています。「コンチェルト2010」は、プロッグの最新作として話題になったもので、金管五重奏と吹奏楽のための協奏曲という面白いスタイルの作品です。とはいっても金管五重奏ばかりが前面に出て大活躍するわけでも、吹奏楽と金管五重奏が協奏的な掛け合いをするわけでもなく、むしろ両者が一体となって作り上げていく音楽です。舞曲風のリズムを多用しつつも、ほとんどが短調のダークな響きで内容も意外にシリアス。
アルフレッド・リード(1921-2005)といえば、吹奏楽では昔から根強い人気を持つ作曲家。「アルメニアン・ダンス」や「エル・カミーノ・レアル」、「オセロ」、「ハムレット」など数々の親しみやすい名曲を世に送り出していますが、吹奏楽のための交響曲も5曲残しています。「ワーグナーのポラッツィの主題による変奏曲」は、「交響曲第3番」の第2楽章ですが、メロウで緊張感のある単独の楽曲として取り上げられることも多く、盟友だったフレデリック・フェネルもこの曲をリード作品の中でも「最高傑作」と言ったほど気に入っていました。
吹奏楽の世界では絶大な人気がある巨匠デイヴィッド・マスランカ(1943-)の「交響曲第8番」は、全編にマスランカ節が炸裂したダイナミックでゴージャズな作品。ミニマル・ブラスとでも言ったらよいか、ジョン・アダムスやフィリップ・グラスが吹奏楽に手を出したら、こんな感じではないでしょうか。バッハを思わせる美しいアルペッジョや華麗な和音の持続が心地よく、終盤の荘厳なクライマックスは圧倒的!凶悪なまでに盛り上がるブラスや打楽器のパワーも凄い。これまでのマスランカ作品の中でもひときわ優れた力作です。