ジョージ・ガーシュウィン(1897-1938):
CD1:
1-2. パリのアメリカ人
3-5. ピアノ協奏曲 ヘ調
CD2:
1. キューバ序曲
2. 交響的絵画「ポーギーとベス」(ロバート・ラッセル・ベネット編)
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮)/スウェーデン放送交響楽団、ジェフリー・シーゲル(ピアノ)
録音:1996年3月6日、ベルワルド・ホール,ライヴ録音(デジタル)
WEITBLICK【ドイツ輸入盤】
スヴェトラーノフはガーシュインを愛し、「パリのアメリカ人」、「ポーギーとベス」についてはMELODIYAにも手兵ロシア国立響との録音があります(未CD化)。この「ガーシュイン・コンサート」は、一聴して顔をしかめる方がいるであろうことが想像に難くないほど、重々しくて、超絶のスローテンポを駆使した正に「オレ流」ガーシュインです。しかし説得力は無類。ガーシュインが作曲の天才であり、如何に遅いテンポで歌ってもその美しさはビクともしません。「ポーギーとベス」などは、ラフマニノフのようなロシア情緒さえ感じられ、確かにユニークであるものの、むせかえるようなロマンチックなムードは絶対に一聴の価値があります。「パリのアメリカ人」や「キューバ序曲」もやたら巨大なスケールをもった異様な演奏ですが、スウェーデン放送交響楽団もスヴェトラーノフの棒に必死に食らいつく大健闘ぶりで、聴いていてこれほど面白くパンチのあるアルバムは、滅多にあるものではありません。
ソリストのシーゲルはアメリカ出身のピアニストで、1989年ロン・ティボー・コンクールで第1位を獲得した腕利き。かつてスラットキンと組んでガーシュインを普通のテンポで録音しています(VOXレーベル)。今回の共演はピアノ協奏曲の演奏を熱望したスヴェトラーノフに、スウェーデン放送響楽団長がシーゲルを推薦し実現した初顔合わせです。スヴェトラーノフはシーゲルを気に入り、ハーグ、ロシアでも共演を重ねました。「今度は、チャイコフスキーの第2協奏曲、ラフマニノフの第1協奏曲を共演しよう」という約束が彼の死で果たせなかったとシーゲルは懐古しています。英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付き。