1. マルセル・グランジャニー(1891-1975)／狂詩曲
2. アルフォンス・アッセルマン(1845-1912)／泉（練習曲） Op.44
3-5. ジョン・パリー(1710-1782)／ソナタ第２番
6-8. マルセル・トゥルニエ(1879-1951)／映像 第３組曲 Op.35
9. アンリエット・ルニエ(1875-1956)／小人（子鬼）たちの踊り
10-12. ソフィア・ドゥシーク(1775-1847)／ソナタ
13. カルロス・サルゼード(1885-1961)／星のきらめき
14. エリアス・パリッシュ=アルヴァース(1808-1849)／序奏、カデンツァとロンド
15-18. リン・パルマー(1918-)／古典組曲
18-19. ジョン・トーマス(1826-1913)／吟遊詩人の故郷への告別
ジュディ・ローマン(ハープ)
録音：1998年4月、カナダ、オンタリオ州、ニューマーケット、セント・ジョン・クリソストム教会
NAXOS【香港輸入盤】
ハープのためのオリジナル・ソロ作品を集めたアルバムで、通常は耳あたりのよいフランス近代の作品が集められがちですが、ここでは古典派から近代まで多種多様な選曲で、演奏者のこだわりを感じさせます。ハープは非常に古い歴史を持つ楽器で、このディスクに収録されている作品が世に現れた300年間のうちに急速にそのメカニズムが進歩し、その表現能力も大いに拡大しました。この楽器特有の奔流のような分散和音が頻出する近・現代の作品においてはもちろん、そういった奏法が確立する以前、ピアノと大差のないようなパッセージがほとんどの古典期の作品においても、アルカイックな雰囲気が濃厚な音色など、ハープならではの魅力を存分に感じ取ることができます。また様々な時代の(したがって多彩な)、一般には馴染みの薄いが腕の確かな作曲家たちによる秘曲の数々に沢山出会えるのも、このディスクの嬉しいところです。
また、何よりジュディ・ローマンの演奏が素晴らしく、1960年からカナダの名門トロント交響楽団の第１ハープ奏者を務めているベテランハーピストの実力を発揮しています。力強いタッチから生み出される鮮明な音色は、楽曲のディティールまで明瞭に描き出しており、聞き慣れた名曲に高潔でクッキリとした輪郭を与えることに成功しています。比較的よく知られているグランジャニーの「狂詩曲」やサルゼードの「星のきらめき」、トゥルニエの「映像」などは出色の演奏。ほとんど秘曲といえる他の作品も実に鮮烈で、ハープに詳しい方にこそオススメしたいアルバムです。
