ジョン・ケージ(1912-1992):
1.FOURTEEN(1990)~Pf,Fl/picc&bass,Cl,B-Cl,Hrn,Trp,2Perc,2Vn,Va,Vc,Cb
2.SEVEN(1988)~Fl,cl,Perc,Pf,Vn,Va,Vc
3.TEN(1991)~Fl,Ob,Cl,Trb,Perc,Pf,2Vn,Va,Vc
4.THREE2(3の2乗)(1991)~3Perc
ザ・バートン・ワークショップ 録音:2002年8月,2005年7月
MEGADISC【ベルギー輸入盤】
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現代音楽の雄ジョン・ケージは、1987年から1992年(その死の年)まで、「ナンバーピース」と呼ばれる演奏者の人数をそのまま題名とした作品を発表し続けました。楽譜上には、音程や強弱がついた音が書かれているものの、それぞれ作品中の何分何秒から何分何秒までの間で演奏されるべきかが記されているだけで、いつ音を発するかは演奏者が自由に判断して決めます。つまり各奏者はストップウォッチを見ながら、自由なタイミングで音を演奏していくことになり、独特の強い緊張と集中力が生じる音楽です。オランダの現代音楽アンサンブル、バートン・ワークショップは、ケージの数字だけの風変わりなタイトルの作品シリーズを次々に録音・発表しており、高い評価を得ています。数字はいずれも演奏者の数を表しており、編成によっていくらか様相は異なるものの、いずれも全楽器のトゥッティはなく、2、3の楽器が少しずつ弱音で長い音符を奏でてゆく瞑想的な音楽です。「FOURTEEN」は、編成の規模が大きいぶんベースやバス・クラの低音が充実しており、ミステリアスな雰囲気が漂い、「SEVEN」は、編成こそ小さいものの、ピアノが中心となって活躍するため、よりダイナミックで緊張感の高い音楽になっています。また、よりシンプルで幾分東洋的なテイストを感じさせる瞑想的な「TEN」などそれぞれの個性はしっかり備わっています。「THREE2」は、3人の打楽器奏者のための作品ですが、ケージは若い頃から打楽器作品をたくさん手掛けてきており、純然たる打楽器作品を書いたのは実に久しぶりのこと。シュールな音が最弱音で延々と続き、無音の余白にまで音楽を感じとらなければならないほど聴き手の強い集中力を求める音楽は、いかにもケージらしいところ。