CD1:
1-5. ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」 ブルーノ・ワルター指揮
6-10. ドビュッシー/交響詩「海」 シャルル・ミュンシュ指揮
CD2:
1-17. エルガー/エニグマ変奏曲 ピエール・モントゥー指揮
オーケストラは全てシンフォニーオヴ・ジ・エアー 録音:1957年2月3日(モノ)
18-25. チャイコフスキー/「くるみ割り人形」組曲
26. ベルリオーズ/「ローマの謝肉祭」序曲
27. ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕の前奏曲
指揮者なし/シンフォニーオヴ・ジ・エアー 録音:1954年9月21日(ステレオ)
MUSIC&ARTS【アメリカ輸入盤】
名指揮者トスカニーニが亡くなったことを受け、急遽1957年2月3日にカーネギー・ホールで行われたシンフォニーオヴ・ジ・エアーのトスカニーニ追悼演奏会のライヴ録音をメインに、同オーケストラが指揮者抜きで演奏した珍しい録音をカップリングした貴重なアルバムです。
トスカニーニの手兵NBC交響楽団は、トスカニーニの引退後に存続の危機に立たされ、楽員たちはシンフォニー・オヴ・ジ・エアーと改称して指揮者を置かずに独自の活動を続けました。シンフォニー・オヴ・ジ・エアーが指揮者なしで録音したアルバムは以前リリースされたことがあるようですが、ステレオ録音がリリースされるのはこれがおそらく初めてとのこと。楽員たちはトスカニーニの指揮を思い浮かべながら演奏したといわれ、さすがに鍛え抜かれたオケだけあって指揮者がいないとは思えないほど立派な演奏です。もちろん指揮者がいないことのデメリットも感じさせますが、歴史的なドキュメントとして興味深いものです。
一方、メインとなる1957年2月3日のトスカニーニ追悼演奏会のライヴ録音(モノラル)は、かねてよりワルター指揮の「英雄」が知られていたものの、ミュンシュやモントゥーもシンフォニー・オヴ・ジ・エアーの指揮台に立っていたのです。ミュンシュの「海」やモントゥーの「エニグマ変奏曲」はこれが初リリースとなる貴重な音源です。3人の巨匠ともNBC響とはお馴染みだっただけに、無報酬で演奏会に参加したといわれ、いずれもトスカニーニが得意とした曲を取り上げました。旧NBC響であるシンフォニー・オヴ・ジ・エアーにとってもちろん特別の演奏会であっただけに、トスカニーニの味わいを残した気迫のこもった演奏ぶりはたいへん素晴らしく、ミュンシュやモントゥーの演奏も感動的です。モノラルのライヴ録音ですが、音質は鮮明で良好です。仏ディアパソン誌において絶賛され、最高の評価「ディアパソン・ドール」を獲得した名盤です。