ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)：
ＣＤ１：
1-3.ヴァイオリン協奏曲第３番 ト長調 K.216
4.ヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョ ホ長調 K.261
5.ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド ハ長調 K.373
6-8.ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
ＣＤ２：
1-3.ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第１番 ト長調 K.423
4-6.ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第２番 変ロ長調 K.424
フィリップ・グラファン（ヴァイオリン＆指揮）、今井信子（ヴィオラ）
ブラバント管弦楽団 録音：2006年6月
AVIE【イギリス輸入盤】
フィリップ・グラファンは、1964年マルセイユ生まれのヴァイオリニスト。16歳という若さでフランスの名門パリ音楽院を１等賞で卒業し、20世紀の巨匠ジョゼフ・ギンゴールドや伝説的名手ヒルシュホルンの下で研鑽を積みました。グラファンは他人が取り上げないような珍しい作品や編曲ものを収集し、またそれらを積極的に演奏・録音しているため、ある意味キワモノ的な扱いを受けることもありましたが、その卓越したテクニックと豊かな音楽性は世界中から絶賛を集め、いまや現代フランスのトップ・ヴァイオリニストといっても過言ではありません。
また、今井信子は、日本のみならず世界を代表するヴィオラ奏者として活躍を続ける実力派。楽器の可能性を深く追求した演奏活動や教育活動は、ヴィオラの第１人者の称号に相応しいスケールで展開されています。そして、その幅広い音楽活動は2003年の紫綬褒章授章に代表されるように、音楽賞のみならず数々の栄誉を授与されるなど全世界から称賛を浴びています。
この卓越したアーティスト２人の共演というだけでも充分注目な価するアルバムですが、演奏も期待に違わぬ素晴らしいものです。使用する楽譜にこだわるグラファンは、ここでも「ヴァイオリン協奏曲第３盤」と「アダージョ」、「ロンド」において自作の独創性に富んだカデンツァを用いています。それ以上にグラファンの張りのある明るい音色と自由闊達で伸びやかな表現は、ちょっぴりやんちゃなモーツァルトのイメージを彷彿とさせ、快活さと愉悦に満ちています。さらに「協奏交響曲」は近年稀にみる名演で、日本とフランスが誇る世界的奏者が満を持して送り出す至高の芸術品といって過言ではないでしょう。共演に起用されたオランダのアイントホーフェンを本拠地とするオーケストラ、ブラバント管弦楽団の味わい深い演奏も今井信子とグラファンの音楽をさらなる高みへと昇華させています。すばりオススメのアルバムです。デジパック・ケースです。
