ユリウス・レントヘン（1855-1932）：
1-3. チェロ・ソナタ第10番 ハ短調（1927）
4-7. チェロ・ソナタ第７番 嬰ヘ短調（1917）
8-11. チェロ・ソナタ第２番 イ短調（1901）
ジャン・ドクロース（チェロ）／ダニエル・ドゥシェンヌ（ピアノ）
録音：2005年2月18-19日、4月23-24日、ドイツ、ヴッペルタール、インマヌエル教会
ARS PRODUKTION【ドイツ輸入盤】
ユリウス・レントヘンはライプツィヒ生まれのオランダ人作曲家・ピアニストで、オランダでは有名な音楽家の一族の一人です。ライネッケやリストに作曲を師事し、グリーグら北欧の作曲家とも親しく、ブラームスにも気に入られていたそうです。20曲もの交響曲をはじめ、協奏曲や室内楽曲など幅広いジャンルで作品を残しており、ドイツ・ロマン派に近い作風ですが、後期の作品ではレーガー、ドビュッシーなどの影響が見られるといわれています。レントヘンは晩年アムステルダム音楽院長を務めました。
そのレントヘンの作品が演奏される機会はこれまでほとんどなかったのですが、近年続々ＣＤがリリースされるようになり、再評価のムードが出てきたところ。このチェロ・ソナタのアルバムもたいへん貴重な録音というだけに留まらず、まだこれほど魅力的な作曲家が隠れていたのかと驚くに価する優れた内容です。チェロ・ソナタは、彼が伴奏者を務めたカザルスのために書いたもので、 レントヘン一家が暮らした邸宅で行われたこの録音もカザルスに捧げられています。後期ロマン派のドイツの影響を強く感じさせる音楽は、適度に軽やかで爽やかな味わいがあって魅力的。
演奏しているジャン・ドクロースは、フランスのカレーに生まれ、パリ音楽院でポール・トゥルトリエとアンドレ・ナヴァラに師事したチェロ奏者。1962年にはアムステルダム・コンセルトヘボウのソロ・チェリストに指名されたという実力者です。そのジャン・ドクロースの演奏も気合いに満ちたもので、レントヘンの隠れた名作を紹介するには充分すぎるほど。チェロ・ファンの方にオススメです。
