エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)/レニングラード・フィル
録音:1982年、レニングラード(ライヴ)
ALTO【イギリス輸入盤】
かつてPHILIPSからもリリースされていたムラヴィンスキー晩年の有名なライヴ音源。他のレーベルからもリリースされていましたが、いずれも入手が難しいものばかりだったので、この廉価盤のALTO(旧REGIS)の復刻盤は有り難いものです。しかも、かつてPHILIPSからリリースされていたアルバムはやや高めのピッチで収録されていたため、全体に甲高い音に感じられるという弱点がありましたが、こちらはピッチが正常なものに修正されています。演奏はショスタコーヴィチの第8番の決定盤と長らく言われ続けているだけあって、これ以上は考えられないほど壮絶なもの。レニングラード・フィルのアンサンブルやソロの巧さには本当に舌を巻くほどで、ムラヴィンスキーの他のライヴ録音と比較しても、完成度や録音状態はトップクラスでしょう。激しさだけではなく、落ち着いた静けさの中にも常に緊張感が漂い、どのフレーズにも痛切な思いが込められています。真摯に曲に立ち向かった極めて説得力の強い名演奏です。オススメです。