フレデリック・ショパン(1810-1849):
1-24. 24の前奏曲集 Op.28
25-28. 12の練習曲 Op.25より 第1,2,6,12番
29-31. 12の練習曲 Op.10より 第6,4,5番
モーラ・リンパニー(ピアノ) 録音:1995年3月(デジタル)
ERATO(WARNER)【ヨーロッパ輸入盤】
モーラ・リンパニーは、1916年イギリス生まれの伝説の女性ピアニスト。若くしてラフマニノフ自身から絶賛をされたリンパニーは、ラフマニノフの前奏曲集を十八番のレパートリーとしていましたが、ショパンの前奏曲集も得意としていました。リンパニーは1950年代に全曲録音を果たし、そしてさらにがんの克服などいくつかの試練を乗り越えて復帰した最晩年にも再録音をしています。このアルバムはその最晩年(1995年)の録音で、デイムの称号をもつイギリス出身のリンパニーの円熟の境地を示した絶品の演奏です。80歳近いピアニストとは思えない堂々たる力強い演奏で、軽やかなテクニックでしっとりと歌い上げています。衰えどころか非常に奥の深い音楽を聴かせる手腕は見事であり、これほど陰影に富んだ「24の前奏曲」はそうあるものではありません。また、7曲の練習曲もしっかりしたテクニックで、リンパニーの音楽の表現力とセンスの良さに頭が下がります。心に響く演奏とは正にこのような演奏を指すのでしょう。ショパンがお好きな方に是非お勧めしたいアルバムです。